誰にも会わない話

耳のするどい生きものになってうっとりと宇宙を聴いている感じ。( *_* )v

昔々に四万五千円で買った丸善の万年筆と去年の秋ぐらいに買ったパイロットの千円の万年筆がぼくの仕事机に並んでいて今日は日曜日でお天気は晴れから雨に変わりまたちょっと空が明るくなってきた今日は暖かくて気持ちがいいな〜・・ずいぶん昔に買った丸善の万年筆は使いこなすのにとても時間がかかったし途中で何年も放置していた期間があるのだけれどある日ちょっとした思い付きでインクの色をブルーブラックからブルーに変えてみたら突然使えるようになって驚いた・・ブルーブラックは良い色なのだけれど「色が重たくて」たぶん上級者向けなのだと思ういわゆる大人の字で達筆でないとなかなかサマにならないがいかにも万年筆らしい一般的なパイロットの「ブルー」インクであればぼくのようなクセのあるまるっこい文字でもそれなりに見えてしまうことに気がついた・・まず月末に送るご請求書などの宛名書きがずいぶん「いい感じ」になってそれを郵送するために近くのポストまで歩いて行くときには明るい空の下でその封筒に書かれた宛名の文字を眺めながら「ちょっとした満足感」を感じるようにさえなった万年筆ならではのインクの濃淡や線の味わいが実にいいただ単純に相手の住所と名前を書いているだけなのにささやかに感謝の思いが伝わっているように感じるこのような満足できるご請求書を送れるようになるまでにいったい何年かかったのだと回想すると昔のことをいろいろ思い出して甘酸っぱい気分になる仕事場の環境や風景や人間関係やその時に取り組んでいた仕事も今はもう遥か彼方の幻なのだけれど月末のご請求書というある意味では仕事の仕上げのような事務仕事のことはわりに鮮明に覚えているものだポストに向かう道の景色もいろいろあって懐かしい・・もう一本パイロットの千円の万年筆は手帳にスケジュールを記入したりちょっとしたメモを取っておくのに欠かせない可愛いやつだ・・筆記具としてはこの子たちの他にはステッドラーの鉛筆ホルダーに2Bの芯を入れたものを愛用していて手帳の記入はもっぱらこの鉛筆ホルダーだったのだけれどパイロットくんの登場でぼくの手帳の「ぱっと開いて見た感じ」はずいぶん明るく快活な印象に一変した・・手で書く文字というのは面白いものだよね自分。