誰にも会わない話

耳のするどい生きものになってうっとりと宇宙を聴いている感じ。( *_* )v

今日はミッケル号の日だミッケル号は移動図書館なので借りていた本を返して新しい本を借りて・・帰って来たらとりあえずソファに寝転んで一冊一冊を吟味してゆく・・移動図書館にはもともとたいした本は積んでいないので予約で届いたお目当ての本を別にすれば期待感は30%程度のものだ・・それでも時々・・それでも時々は思いがけない宝物、自分から進んで手に取ることのないジャンルの小説などに運良く巡り会うことがあってぼくはその偶然性を楽しむことにしている・・さてさて今日の収穫は・・まずは小川洋子人質の朗読会のページを開いたがこの作品は最初の一ページ目からイマイチの気配がぷんぷんしているなと思ったが我慢して第一章を読み第二章まで来たところで投げ出した当たりはずれの多い作家であるなと思う良い作品・・たとえば原稿零枚日記などはすごくいい味を出していて僕としては儲け物だったのだけれど大ヒットした博士の数式はなんとなく鼻につく変なにおいが読後感として残った文章はとても上手いと感じるけれどそれを「職業的」に提出している本人の息苦しさを感じてしまう・・息苦しい文章は息苦しさを伝えてしまう・・小川洋子を終了して何冊かの雑誌をぱらぱらと読み飛ばしてそしていよいよ、よしもとばななの登場である・・さすがだなと思うのはやはりこの人ははずれが少なくてぐいぐい読ませてしまう力があってそして文章がやわらかい・・よしもとばなな「花のベッドでひるねして」の表紙をひらく、中扉の数ページを経て本編の一行目に行き着くまでのほんのささやかで期待に満ちた時間は小説の大きな愉しみだ・・キタ!キタ!キタ!・・一行目からいきなり目と心が楽しんでいる・・無理して読み進んでみたつい先ほどの小川洋子作品とはまるで対照的な正直な身体感覚だそしていつも思うのだけれどこの「読ませる力」は凄いものだと思うそしてなんと8ページをめくったところであまりにも愛おしいこの小説の世界観に包まれて危うく泣きそうになってしまった・・手元に本物の小説がある時の数日間は実に嬉しいものだぼくにとってその「嬉しい数日」を提供してくれる作家は本当に限られていてそしていつの間にかよしもとばななさんがナンバーワンかも知れないと思うようになった・・中扉に添えられていたジョジョの奇妙な冒険からの一節を記録しておくことにしよう・・「あなたの考えには希望がある 暗闇なんかじゃあない…道がひとつしかなくてもそれにかすかでも 考えがあるなら それは きっと うまくいく道」・・ちょっとわくわくさせるはじまりじゃないかと思ったのでした自分。